2012年11月20日

フォレストーリー視察報告その⑦コミュニティメンバーとの意見交換

ナグマカパック、カマパカを担当しているコミュニティにそれぞれ訪問し、メンバーとの意見交換を行いました。

 

意見交換の様子

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ナグマカパックを担当するコミュニティ、カタラタラーン(Katarataraan)85世帯が暮らす農村で、PO(人民組織)が比較的しっかりしているため、ハリボン協会やLGUとの連携が上手く行われています。

 

ミーティングの前に、メンバーの女性の手作りランチを頂きました。食材は主に農村で取れた天然のもので、キノコやニガウリ、放し飼いの鶏肉など新鮮でとても美味しかったです。

 女性たちが用意してくれたランチと、キッチンの様子。

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カタラタラーンでは、フォレスト―リーによるコミュニティ基金を活用した、マイクロクレジットやLively hood プロジェクトを実施しており、初めにその実施状況を見学しました。

 

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 コミュニティ基金とは、皆様からお預かりした協賛金の10%をコミュニティ基金として蓄え、植林に協力した地域の人々が話し合いで、簡易水道設備等のインフラ設置、無農薬農業、再生可能エネルギーの導入、あるいは教育支援など、その地域で最も必要な分野に活用していくことができる基金です。

 

運用方法は、ハリボンのコミュニケーションオフィサーがPOにしっかり入り込んで、植林・メンテナンスの成果の対価としての支給という形を管理しているため、基金が非常に有効に使われています。また用途については、POの要望を踏まえてハリボンがアドバイスを行っており、設備の購入等は基本的に現物支給の形をとっています。

 

 この建物はコミュニティ基金で建設したBunk House。森林再生用の資材や機器の置き場、事務室を兼ねています。基金で購入したビデオケ(日本でいうカラオケセット)は人々に人気の娯楽となっています。ビデオケを結婚式やイベントがある際に貸し出しを行い、そのレンタル料でコンポスト設備を2つ追加しました。

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 基金とマイクロクレジットにより導入したコンポスト施設。家畜の糞尿に稲わら等を投入し、ミミズで分解しています。5床あり毎月50袋を生産しているとのこと。畑で利用する他、1400ペソで販売もしており、POの収入源になっています。

気温が十分高いため、加温等の付加設備は使っていません。家畜糞尿の量が十分確保できれば、この施設で現在の倍の量が生産可能。調理用のバイオガスにも関心があるそうです。

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コミュニティ内で行っている苗の育成床。在来種の種や実生をポットで育成しています。苗は森林再生に用いるほか、国家政策であるNGP用にDENR(環境天然資源省)にも一部販売しており、収入源になっています。

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基金で購入したヤギ。ハイブリッド種は育たなかったため買い替えたそう。生後3か月で売れるようになります。

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基金で作った養殖池。国から1万匹のティラピア幼魚が供給される予定です。

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 POメンバーとのミーティングでは、様々な意見が出されました。男性も数名いましたが、女性の参加者が多かったです。フォレスターとしての自覚、プロとして森林再生の仕事に従事している誇りも感じられ、メンバーからは積極的に意見や要望が出されました。

 

コミュニティ基金は生活手段の多様化に大きな成果を出しており、メンバーからの期待も大きいことが分かりました。

 

 POメンバーからの意見は以下の通り。

コミュニティ基金があるので、NGPよりフォレスト―リー・プロジェクトを優先している。

フォレスト―リー・プロジェクトを開始したことで、一部炭の販売への依存が減った。

植林費用も必要だが、メンテナンス費用の支援を充実して欲しい

日陰の少ないオープンエリアでは、常に植え替えを行っている。活着率を高めるための調査が必要ではないか。

種や苗を探す際に、在来種と外来種を見分けられるようになった。森林再生に関するPOの技術が向上していると感じる。

しかし今後森林再生のファンドが無くなることも想定するべき。今からLively Hoodを強化して、生計手段を多様化しておきたい。コミュニティの収益を増やして、子ども達に良い教育を受けさせたい。

マイクロクレジットは、回収が課題だが、基金で始めた7,000ペソが12万ペソに増えた。増えた収入で車輌を購入し、ビデオケを貸し出すための運搬や、子ども達の学校の送迎に使いたい(毎日7㎞歩いて通っている)

パソコンは中古を購入したため壊れてしまった。マイクロクレジットの出し入れ管理のためにもぜひ新しいPCが欲しい。

 

 

 

 

 

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 このように、コミュニティ基金の有用性については、ハリボンからも、POからも高い評価を得ています。また森林資源に依存する人々に、代替生活手段を提供しなければ、結果としていずれ森林破壊に戻ってしまうことが分かり、基金の果たす役割が大きいと感じました。

 

  更に、カマパカのコミュニティ「マラボーボ(Malabobo)」とも、意見交換を行いました。

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 マラボーボの人々は、もともと田畑を持たず、森林資源に依存した生活を送っていました。森林再生の仕事は、薪や炭を作るよりも割が良く、危険も少ないので、メンバーは今後も森林再生と保護を仕事として続けていきたいと感じています。以前のPO代表がNGPの謝金の配分を公平に行わなかったことが原因で、POの組織運営に問題が生じたため、コミュニティ基金の利用は一時止めている状況となっています。近々代表選挙があり、組織の再編成をする予定で、現地パートナー団体のハリボン協会としては、組織のマネッジメントを強化しつつ、基金の活用も進めていきたい考えであることの説明がありました。

 

メンバーからはカタラタラーン同様、フォレスターとしての自覚と森林保全の仕事に対する誇りが感じられました。少しの資金でもLively Hoodの強化につながることが分かり、このコミュニティでも基金の運用が進むようハリボンにも引き続き支援協力をお願いしました。

 

メンバーからのヒアリングで分かった主な点は以下の通り。

 

薪や炭を作るより、森林再生の仕事の方が割が良いので、この仕事を続けたいと感じている。(炭は2週間はたらいて1,500ペソの収入)この仕事で薪や炭の生産を減らすことができた。以前DENRが森林再生の支援を中止した時、コミュニティは薪や炭生産を再開した経緯がある。フォレスト―リーによる支援が終わっても自立できるよう、Lively Hoodを強化する必要がある。

乾季は水やり、雨季は草刈りのため、メンバーは毎日森に入ってメンテナンス作業を行っている。夏場はメンテナンスと保護のためのスタッフがもっと多く必要と感じている。

森林減少により土砂崩れや洪水などの災害が起きており、メンバーは森林再生が将来にとって重要な活動であるとの認識を持っている。

メンバーは森林再生による収益を貯蓄し、それを元にLively Hoodを増やすために使っている。

基金により、小規模な農業を始めることができた。(以前は田畑を持たなかった)F-1ではない野菜の種を探し、無農薬の循環型農による栽培をしており、栄養価の高い食べ物を作れるようになった。またヤギを12頭買い、既に6頭を販売することで収益につながった。

森林作業に必要な道具類が十分でないことが分かった。岩場や急な斜面があるため、森林作業用のブーツや、レインコート、草刈り用の柄の長い鎌(短いのと両方必要)。パトロール時の緊急連絡用の無線ラジオ等。

メンテナンス期間が終了した後の、森林保護も必要との意見があった。違法伐採の問題があり、メンバーは高価な樹木などを植えると伐採されるのではないかと心配をしている。

現在、8mほど防火帯を作っているが、今後より強化したい。早く成長する樹を植えて、火災の広がりを防ぐ、バナナを植える等のアイデアもある。保護エリアの外側にバッファーゾーンを作り、そこで農業をするといった対策ができないかDENRに相談したい。

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 コミュニティ内で金銭トラブルがあったため、Bunkhouseの設置や小規模農業以外ではコミュニティ基金の活用を一時停止していますが、植林以外の収入源確保のため、コミュニティ基金やマイクロクレジットを活用して、その他の収入源を確保していくことがカマパカコミュニティの今後の目標です。

 

最後に皆さんと記念撮影

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コミュニティ基金がいかに、人々が森林資源に依存せず、持続可能な生計を立てるための新たなチャレンジをサポートする役割を担っているかを知り、プロジェクトの有効性と実施の意義を大いに感じる意見交換となりました。

フォレストーリー・プロジェクト公式ブログ