2010年05月25日

SATOYAMAイニシアティブ

category: 生物多様性


生物多様性の日(522日)の3日後!みなさん、こんにちは。


 


まずおしらせですが、フォレストーリーが昨年「コト」大賞をいただいたロハスデザイン大賞の第5回授賞式が、65日(世界環境デー)に開催されます!http://www.lohasclub.jp/lda2010/symposium.php 


パネリストとして我ら(?)が、バードライフの鈴江恵子も参加することになってます。


2010年のテーマは「あなたが生物多様性のためにできること」。2009年のテーマ覚えてますか?「ローカーボンスタイル/低炭素社会へのチャレンジ」ですよ。この1年のあいだに世界の環境キーワードが「生物多様性」に大きくシフトした感じが伺え知れます。ただノミネートされている皆さんは、そんな時流とは関係なく、ずっと前から環境問題に取り組まれている方々ばかりですから、私たちも真剣に投票したいですね。



話は変わって、先週末は「生物多様性の日」があったということで国内外でそれに関するイベントが沢山開かれてました。


 その中で国連大学主催の『日本における里山・里海の生態系サービス評価』国際シンポジウムがあったので、今回はこちらのお話をします。http://www.ias.unu.edu/sub_page.aspx?catID=8&ddlID=1233



 里山・里海(SATOYAMASATOUMI)は、日本の原風景であり、実は原生林よりも生態系に富んでいる場所といわれています。しかもその豊かさは、長年に渡る伝統的な農業や漁業で行われてきた、人による自然管理が育んできたものなのです。このような人による二次的自然環境を一般的に「社会生態学的ランドスケープ」と呼びますが、里山・里海以外でも、世界にこのような景観は沢山あります。例えば、フィリピンのムヨン、韓国のマウル、スペインのデへサ、フランスのテロワールなどがその類になります。



 生態系サービスに経済的評価を与えよう!という動きで「ミレニアム生態系評価(MA)」がまとめられたのが2005年。そのMAの基準に則って、今度はサブ・グローバル評価として日本の里山・里海を調査し、「社会生態学的ランドスケープ」の持続可能な利用方法を世界に推進しよう!!という試みが「SATOYAMAイニシアティブ」なのです。これは主に環境省と国連大学によって進められており、COP10までに報告書を提出する予定になってます。



 昨今の環境保全は、排出権取引ではキャップ&トレード方式しかり、資源調達ではRSPO認証、MSC認証、RA(レインフォレスト・アライアンス)しかり、なにかと欧米のルールブックで進められる傾向にありますが、「社会生態学的ランドスケープ」分野では日本がイ二シアティブを取って行けるのか?COP10のホスト国、もう一つの大事な役割がこの「SATOYAMAイニシアティブ」作成に課せられているようです。

2010年05月21日

IBAとは?!

category: 生物多様性

こんばんは、今回はフォレストーリー・プロジェクトにとって大事なIBAのお話です。

IBAとはImportant Bird Areaの略で、鳥にとって重要なエリア(そのまんま!)です。フォレストーリーの運営母体、NPO法人バードライフ・インターナショナル(所在地:ケンブリッジ)が独自の調査を行い、1980年代からこのIBA選定と保全を(日本野鳥の会も含む)世界100ヶ国以上の加盟団体と共同で実施しており、現在、世界では10,000以上、アジアでは約2,300か所のIBAが選出されています。

iba_map.jpg

このような話をすると、みなさんから「鳥以外の動物は?」「愛鳥家じゃないんだけど!?」という突っ込みが聞こえてくることがあります。そう、IBA保全は一見“鳥の愛護活動”と勘違いされがちです。しかしそれは大きな勘違い!IBA保全が守ろうとしているのは、自然であり、生態系であり、しいてはみなさん人間です。

生物の時間に習った「食物連鎖」があります。このトップ(高次消費者)に位置しているのが鳥なのです、そして鳥が生きていくためには多くの微生物から森林、昆虫、小動物が必要になります。つまり多種多様な鳥が多く存在するということは、その場所の生態系が豊かな証拠なのです。

 image11.jpg

DDTを始めとする農薬などの化学物質の危険性を初めて訴えた、故レイチェル・カーソンの『沈黙の春』の中に「自然は、沈黙した。うす気味悪い。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。春がきたが、沈黙の春だった。」という有名な一説があります。これは、自然の死を(鳥が鳴かなくなった)ことで象徴しています。鳥は食物連鎖のトップなので「生物濃縮」により、真っ先に被害を受けやすいので、一見分かりにくい自然の破壊、生態系の破壊を私たちに教えてくれるのです。

フォレストーリーでは、IBAの周辺エリアで衰退してしまった森林の回復・保全を目的とします。けして鳥の保護活動ではありません。しかし、自然のことを考えるとだんだん鳥が愛しくなるのは、この業種特有の職業病かもしれませんね。

ちなみに日本にももちろんIBAが存在し、都会に暮らす私たちの周りにも実は多くの種類の鳥がいます。出会えるのは朝方が多いです、みなさんも少し早起きして鳥の声に耳を澄ませてはいかがでしょうか?

2009年09月24日

生物多様性入門⑥ 生物多様性と企業、そして私達

category: 生物多様性




生物多様性入門⑥ 生物多様性と企業、そして私達


 


世界や日本の政治の世界で、重要性が注目させている生物多様性ですが、そもそも生物多様性に影響を与えているのは、私達ひとりひとりの生活や、それを支える企業活動です。


 


世界では、生物多様性条約の意義に賛同し、目的達成のために取り組むことを約束する「ビジネスと生物多様性イニシアチブ」という動きがあり、世界中の企業35社が参加しています。そしてそのうちに9社が日本の企業です。また国内でも、政府が、生物多様性の保全に取り組んでいます。


http://www.biodic.go.jp/biodiversity/


 


また今年8月には、企業が生物多様性の保全を行うためのガイドラインが発表され、積極的な取組の支援が進めています。また、民間では、生物多様性の保全を目指して積極的に行動する企業が集まり、共同研究を行う「企業と生物多様性イニシアチブ(JBIB)などが発足しています。


 


企業の活動には私達も注目していきたいですが、企業活動は消費者の意識に支えられるものです。私たちが生物多様性の大切さを考え、商品を選ぶ時にその視点を持つこと、ペットやグリーンなどの外来生物を適切に取り扱うこと、そして国の政策や企業の活動に目を向けていくことが、生物多様性を守る1歩に繋がるのではないかと考えています。


 


地球も生物も私達の暮らしも繋がっている、そう思うと、毎日の生活や商品を見る目も変わってくるかもしれません。地球の未来のために、そして新しい価値観を持った充実した生活を送るために「生物多様性」は私達に大きなヒントを与えてくれているような気がしています。そしてフォレストーリー・プロジェクトも皆様のアクションの1歩をお手伝いできれば…と願っています。


 


(入門編終わり)


 


●終わりに●


入門編でお伝えできなかった内容は、ゆくゆくレポートの紹介などでご報告ができればと思っております。皆様のご意見もお待ちしています。

2009年08月25日

生物多様性入門⑤ 生物多様性を守る世界の動き

category: 生物多様性




生物多様性入門⑤ 生物多様性を守る世界の動き


 


私達の生活の基盤となっている大切な「生物多様性」ですが、世界は、日本は、生物多様性を守るためにどのような動きを始めているのでしょうか。


 


世界では、「地球サミット」として有名な1992年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議で「生物多様性条約」が採択されました。しかし、地球温暖化問題を扱い、同時に採択された「気候変動条約」と比べ、長い間注目度が低かったのが現状です。


 


しかし、2002年に条約の第6回締結国会議で"2010年までに生物多様性の損失を顕著に減速させる"という目標が定められ、2008年には、生物多様性入門③でお伝えした「生態系と生物多様性の経済学・中間報告」が発表されたことにより、その影響の大きさが世界に認識され対策の重要性が広まりつつあります。


 


そして、2010年に開かれる第10回締結国会議が名古屋で開催されることが決まり、日本がイニシアチブを取って2010年以降の目標を定めていくことが期待されています。


 


→次回へ続く

2009年08月07日

生物多様性入門④ 私達の生活と生物多様性

category: 生物多様性



皆さんこんにちは!


なんだかすっきりしない天気が続いていますが、夏休みはみなさんどのように過ごされるのでしょうか?


少し間が空いてしまいましたが、今回は生物多様性入門の第4回です。


 


「生物多様性入門③」はこちら


 


私達の人間活動が生物多様性に大きな影響を与えていることはわかりましたが、それはどのように私達の生活に関わっているのでしょうか?森や珊瑚礁が無くなることで私達の生活はどんな影響を受けるのでしょうか?


 


私達の現代的な生活ではつい忘れがちですが、私達が毎日食べている食料や、家や紙などの木材は自然がもたらしてくれる恵みです。私達日本人はその食料の6割、木材の8割を輸入して暮らしています。私達が自然と自分達の生活を結びつけて考えづらいのは、そのせいかもしれませんが、私達は海外の資源に依存して、影響を与えて生活しています。


 


その他にも、医薬品の原料、水、大気など私達の生命は地球上の動物や植物によって支えられています。また、地域独自の風土や文化は、その土地の生物多様性によって育まれ、私達の暮らしも、森林による土壌流出や災害の防止などによって守られています。


 


また、このまま適切な対策が採られなければ、世界のGDP6%が生物多様性の損失によって失われるとも報告されています。このように考えると、生物多様性は私達の日々の暮らしを支える基盤と言えますね。


 


→次回へ







2009年04月02日

生物多様性入門③ 生物多様性損失の影響

category: 生物多様性

皆様こんにちは。

ようやく桜の花も暖かい春の訪れを告げてくれましたが、長く続いた花冷えで、体調など崩されていませんでしょうか?今回は生物多様性の解説、連載第3回をお届けします。

「生物多様性入門②」はこちら

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これまでの連載でもお伝えしている通り、人間活動によって深刻な影響を受けている生物多様性ですが、実際にどのような影響が報告されているのでしょうか。例えば、2008年に「生物多様性条約第9回締結国会議」で発表された「生態系と生物多様性の経済学 中間報告」では、「正しい政策を採られなければ、生態系の中には修復できないほど損害を受けるものも出てくる」という警告が出されました。また、「世界中のすべての人間の福祉は基礎的かつ直接的に生態系サービスに依存している」一方で、50年間の生物多様性の劇的な減少により、その恩恵は急速に低下している」ことを忠告しています。

具体的には...

・過去300年間に地球上の森林地帯は約40%に減少。25カ国において森林が完全に消滅し、別の29カ国においては90%以上が消滅。

・1900年以降、世界は約50%以上の湿地を失った。

・珊瑚礁はその30%が漁業、汚染、病気、珊瑚の白化により深刻な被害を受けている。

・過去20年間で35%のマングローブが消滅した。

...など、その影響の大きさには驚くばかりです。

→次回へ続く

2009年03月16日

生物多様性入門② 現在は生物の大絶滅時代

category: 生物多様性

こんにちは。今回も「生物多様性」のお話をさせて頂きます。

「生物多様性入門①」はこちら

前回お伝えしたように、地球上には現在、約3000万種の生物が存在しています。3000万種といっても多いのか少ないのかよくわかりませんね。しかし、現在、生物は「第6の大量絶滅時代」と言われているのです。

生命誕生の歴史以来、氷河期など生物が大量に絶滅する時代がありました。今はその大量絶滅時代にあたると言われています。そして、その特徴は人間の活動が主因であること、そのスピードが速いことにあります。 

人間活動は、この数百年で種の絶滅速度を約1000倍に加速させいて、現在、哺乳類・鳥類・両生類の1030%が絶滅の危機に瀕していると言われています。また、人類は過去50年において、人類史上のどの時期の50年間よりも急速にかつ大規模に生態系を変えてきたと言われています。


長い間かけてゆっくりと絶滅や進化を繰り返してきたこの間の生物の歴史とは違い、この急激な変化が生態系や種に深刻な影響を与えているのです。 

→次回へ続く

2009年03月10日

生物多様性入門① 生物多様性って何?

category: 生物多様性

フォレストーリー・プロジェクトは、「生物多様性の保全」「地球温暖化の緩和」「地域社会への貢献」を目指した森林保全活動を進めています。

ところで、テレビや新聞などで話題になっている「地球温暖化」や「地域社会への貢献」はイメージできても、「生物多様性」について、あまりイメージがわかないも多いのではないでしょうか? そこで、今回から6回に分けて、「生物多様性」について、お伝えさせて頂きます。 

地球上にはどの位の種類の生物がいるかご存知ですか?地球は約46億年前に誕生し、約40億年前に原始の生命体が誕生したと言われています。生物は環境の変化とともに長い時間をかけて進化をとげ、種の誕生や絶滅を繰り返してきました。そして、現在の地球には約3000万種の生物が存在しています。

生物多様性とは、これら全ての生物の間の①生態系の多様性、②種の多様性、③種内(遺伝子の多様性)を言います。分かりやすくいうと、“地域に固有の自然があり、それぞれに特有の生き物がいて、それぞれが繋がっていること”です。

この地球上の「生物多様性」は、現在、どのような状況にあるのでしょうか?続きは次回…。

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